La Finestra Vol.21
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 ぽってりとした体のラインと、とぼけた表情がかわいらしい。お腹の中に砂糖をしまえる「鳩の砂糖壺」は、70年ほど前に長野県上田市で誕生しました。大正時代の版画家兼洋画家の山本鼎かなえが、農閑期の収入源として提唱した「農民美術」を代表する民藝品です。山本が北欧から持ち帰った鳩の菓子器をヒントにつくられたそうで、言われてみれば素朴な中にどことなく北欧雑貨のような雰囲気も感じられます。 このデザインは生まれた当時からほとんど変わっていません。当初の色展開は赤と茶だったものが、次第にバリエーションが増えていったそう。素材は長野県産の白樺。今では数も少なくなった職人さんが、手で一つ一つ削り、色を塗って丁寧につくりあげています。ちょこんと突き出た尻尾は、砂糖をすくうスプーンの柄。置き物として飾るのもいいけれど、ぜひ毎日の食卓で使いたい一品です。22上田市を発祥の地とする「栄屋工芸店」の鳩の砂糖壺。赤・白木・茶の3色展開、各8,500円(税別)。/プレイマウンテン103-5775-6747

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